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ようやく新しい生活に慣れて来たかな、というところです。少し時間が出来るとびおらを奏きます。もう少し時間があると絵やブログに回せるのですけど・・・なんとかならんかなぁ。 by 村尾 素
びおらのCD
Max Bruch Rainer Moog Hertmut Rohde Lawrence Power Brandenburg Concertos Hoffmeister viola全曲集 ViolaBouquet by 今井信子 |
びおらのイメージは、いわく「渋い」。ヴァイオリンのような流麗はかけらもないし、チェロのように朗々とした響きもない。強弱のレンジはほどほど、音色の幅もほどほど。すべてほどほどの中庸だから、語り口はとっても穏やか。もちろん必要とあれば激情も表す楽器だけれど、お得意はやっぱりたっぷりとした中低音の響き。時にはちょっと皮肉っぽくなるけれど、楽しい思い出とか心地よいくつろぎを表すのにもってこいです。
だから役回り的には女王サマとか勇者とかでは絶対なくて、強いていえば、そこらへんの温和なおじさん親切なおばさんあたり。事実、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」では、チェロがドン・キホーテ、ヴィオラがサンチョ・パンサを演じています。 そんなヴィオラがなんと、よりによってあのジュリエットになって舞っているのがこのCDのなかの一曲。プロコフィエフのバレエ曲「ロミオとジュリエット」をBorisovskiがヴィオラ+ピアノに編曲したものです。もとの管弦楽曲を離れてみても、頭の中にある無垢可憐なジュリエット像と聴こえてくるヴィオラの音色が、どうもいまひとつ咬み合ってないような気がして・・・なんともどうにも。はは。つい笑みがこぼれてしまうのでした。でも決して悪趣味ではないし、むしろとても巧みです。世間的なイメージの「ジュリエット♪」を求めるのは余計なこと、ヤボなだけかも。(笑) 奏いているLawrence Powerはロンドンのひとで、1999年のPrimrose Competitionの優勝者です。Primrose CompetitionのHPを見ると、課題曲が難曲揃いで、特に、プリムローズのトランスクリプションによるパガニーニやサラサーテなどと並んで現代曲を要求されているのに目をひかれました。 ヴィオラは長い間地味な裏方稼業(?)でしたけれど、ここ最近日の目を見る(??)機会が増えたのでしょうか。このPowerさんもコンサートでしばしば現代の作曲家の作品を演奏しているようです。 このCDでも「ロミオとジュリエット」から上述の曲のほかに数曲と、Takemitsu、Roslavets、Ligetiの作品を聴くことができます。武満さんのは繊細な抒情と空間的な美しさ、Roslavetsさんのは後期ロマン派の濃厚な芳醇さに満ちています。どちらも聴くのは初めてでしたが、とても気に入りました。Ligetiさんの無伴奏曲は、とっても面白い、と言ったらヘンな反応なのかな?でも本当にいろいろなものがいっぱい入っていて、聴くたび発見がある曲のように思います。 全体に技巧も表現もとにかく多彩で、懐かしいような悲しみとか、皮肉っぽい悪魔のささやきみたいなものまで感じられてしまう。ヴィオラってこんなにすごいことができる楽器なんだ、温和なおじさんなんてとんでもない、認識を変えさせられた一枚でした。 しかしそれにしてもあのヴィオラをこんなふうに・・・間違いなく、Powerという名前通りの大変な腕っぷし。恐れ入るばかりです。 (Lawrence Power、Simon Crawford-Phillips/harmonia mundi)
by muraom
| 2005-01-02 16:58
| 音楽雑記
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